病気は全て自然治癒力で治る。では

自然治癒力とは何か?

ーそれは、部品交換を自動でやるシステム―代謝

つまり細胞の入れ替えなのです。

それに必要なのはエネルギー、代謝酵素です。酵素に必要なのはミネラル、ビタミンなどの栄養です。

 

2019年「沼田勇賞」受賞論文)

 「自然治癒力に関する考察」

 Consideration about the natural healing power

 

 

    大杉幸毅

   Koki osugi

 

 

  所属 NPO日本綜合医学会

 

要約summary

 

病気が治るのは生体の本来有する「自然治癒力」の働きによる。では、病気はどのようなメカニズムで治るのだろうか。「自然治癒力」とは何か。また「自然治癒力」を高め病気を治すにはどうすればいいのか。筆者の治療法と生活指導による症例(加齢黄斑変性症macular degeneration)から考察した。結論は、老化に伴う生活習慣病を治癒させるには細胞再生の促進が重要で、それを促進するには代謝力のアップが必要で、代謝力はミネラル、ビタミンのバランスと細胞のエネルギー産生に必要な酸素の供給量にかかっている。従って、治癒力を高めるには栄養バランスと血液循環をいかに促進するのかが重要であるかを示唆している。

 

キーワード「自然治癒力」(「血液循環」「酸素」)

 

Keywords "natural healing power" ("blood circulation" "oxygen")

 

(本文)    

 

緒言Introduction

 

 基礎医学には、生理学、病理学、薬理学はあるが「治癒学」はない。生理学は健康な生体のメカニズムを、病理学は病変の原因とメカニズムを、薬理学は薬の生体への作用とメカニズムを研究する分野である。ヒトはなぜ病気になるのかについては、かなり解明されてきた。しかし、病気がなぜ治るのか、どのようなメカニズムで治るのかを研究する「治癒学」という分野はない。なぜないのか筆者は長年疑問に思ってきた。病理学の中に「傷の治癒」の項があり、傷がどのように治癒していくかは非常に詳細に解明されている。しかし、ガンや心臓病などの生活習慣病がどのように治っていくのかは解明されていないのではないか。それどころか現代医学はアロパシー医学(対症療法)なので、生活習慣病を含めた老化に伴う疾患・愁訴を治癒させる方法はない。治癒とは、自然治癒力が働き健康な状態に完治することである。病変部を切り取る手術は、ただ単に悪い部位を切除するだけで後遺症を残し治癒とは言えない。生活習慣病に対する現代医学の治療は、検査数値を正常化させるために薬物を投与するだけの姑息なつじつま合わせであって、病気は根治することはなく、長期治療で薬漬けになり、更にまた副作用のおまけまでついて、結局は手術か、寿命を縮めることになる。

 

 病気が治るのは生体の本来有する「自然治癒力」の働きによる。では、病気はどのようなメカニズムで治るのだろうか。「自然治癒力」とは何か。また「自然治癒力」を高め病気を治すには、どうすればいいのか。筆者の治療法と生活指導による症例から考察した。

 

方法Methods

 

  1. 血液循環療法(手技療法)

    手技の方法は、体表から手指(主に拇指を使うが、腹部、頭部は拇指以外の四指を使用)でソフトにゆっくり垂直圧を加え、12秒静止した後に素早く圧を開放する。この手技を患部、腹部及び全身の動脈系に沿って遠心性に1回約60分間施術する。

    2、食事法も含めた生活指導

    1)生活全般の見直し

    病気(愁訴)の主な原因は、1、精神生活(ストレス)2、間違った食生活(過食・偏食)3、働きすぎ4、健康に悪い習慣(クセ)5、間違った体の使い方6、運動不足などです。必ず、原因があって結果があります。病気(愁訴)の原因は、自分では気が付いていないかも知れませんが、自分で作っているのです。過去を素直に反省して、思い当たる事があれば改めるよう努力しましょう。

    2)精神生活

     根に持つ感情は血液と循環を悪化させ免疫力を低下させます。いつも明るく朗らかで、心の中が秋の空のように澄み渡り、毎日が楽しい生活を送れば、病気は退散していきます。笑いは免疫力を高め、病気を吹き飛ばします。クヨクヨ悩んだり、アレコレ考えても何にもなりません。いつも前向きに、プラス思考で、積極的に取り組んでいく姿勢(意識)が大切です。自分が変われば、人も変わります。「人生万事塞翁が馬」です。また、楽しい趣味を持ち、気分転換を図りましょう。

    3)食事(質の良い少食)

     質の良い少食は血液の質と循環を良くします。体に良い食物でも過食や偏食は血液をドロドロにし、生活習慣病を発症させやすくします。好き嫌いなくバランスよく摂取しましょう。特に、ビタミン・ミネラル・酵素・ファイトケミカルは食品から十分摂ることが大切です。日本人の遺伝子に合った質の良いお勧めできる食物は次の通りです。

    主食 玄米(発芽玄米や七分搗き)、雑穀米、古代米、麦。

    副食 旬の野菜、豆類、ゴマ、海藻類、きのこ類、小魚類、豆腐、揚げ、湯葉、高野豆腐など有機天然素材を使った和食。糠漬け、梅干、納豆、味噌、醤油など伝統発酵食品。青汁。天然塩。味噌汁。有機栽培の果物類。

    出来るだけ摂らないほうが良い食品

     獣肉類、養殖魚、インスタント食品、乳製品、ハム・ソーセージ・練り製品、油性加工食品、その他食品添加物、残留農薬の多いと思われる食品。白砂糖また白砂糖を使った食品。

    4)働きすぎ(ワーカホリック)

     働きすぎは交感神経を優位にし、顆粒球(白血球)を増加させ、がん、動脈硬化などのあらゆる病気(愁訴)の発症因子になります。健康を最優先にすべきです。家族や他人に迷惑を掛けないために、自己の健康管理は社会人としての責任です。

    5)健康に悪い習慣を改める

     アルコールの過剰摂取は、アセトアルデヒドの毒性により消化器系の障害や発癌を起こします。節度を持って楽しみましょう。喫煙は百害あって一利なし、緩慢な自殺行為です。また、副流煙は他人の健康を害し、迷惑をかけます。甘い物(お菓子類)、油物、冷たい物の摂り過ぎにも気を付けましょう。また、夜更かし、睡眠不足、不規則な生活も自律神経の働きを乱し、健康を害します。早寝早起きの習慣を身に付けましょう。便秘を解消するようにしましょう。

    6)体の使い方

    姿勢が悪いと肩・頚の凝り、腰痛、膝痛などの原因になるばかりか、背骨が曲がり内臓にも障害を起こします。また、かかとの高い靴も同様に姿勢を悪くし障害を起こします。運転、デスクワーク、テレビ観賞、読書、手芸など長時間同じ姿勢のときは、姿勢を正しくする習慣を身に付けましょう。

    )毒出し(デトックス)

     汗をかく(運動、サウナ、岩盤浴、足湯など)、ミネラル水を十分とって尿を出す、(宿)便を出す(断食、半断食、少食、繊維食、青汁)、砂浴などをやり、積極的に排毒しましょう。

    8)末梢循環促進法

    血液循環療法を受ける外に、自己治療も出来ます。また軽い運動、温冷浴、乾布摩擦、マッサージ、塩浴法などをしましょう。

    9)ゆったりした有酸素運動、呼吸法、ストレッチング

    ウォーキング、ジョギング、水泳、バイク、気功、太極拳、ヨーガ等、酸素を十分取り込める緩やかな運動を週3回以上、130分以上しましょう。

    10)生きがい・やりがいを見つけ、有意義な人生を送りましょう。

     病気が治ったらしたい事を具体的にイメージし、或いは人生の夢や目標をはっきり持ち、それに向かって邁進することが大切です。

    症例 clinical case

    1)患者名  T,O 昭和19331日生(72歳)女性

    2)疾患名 両眼の加齢黄斑変性症(2015年大阪大学医学部付属病院眼科)、ひざ痛、捻挫後遺症、五十肩 (近医整形外科医院)

    3)主訴 1年前から右膝が階段の昇降時痛くつらい。2週間前から両肩が痛い。そのほか慢性腰痛症、足首痛、首痛、視力低下(運転免許条件に眼鏡が必要)。                   

    4)血圧(170/130/ ㎜Hg)   5)*血度 3  6)アレルギー体質

    7)臨床所見(硬結の部位、硬度、圧痛度、その他)

    左右膝蓋骨内側、内側側副靱帯に硬結。左足関節前面部硬化。左右上臀深部硬化。左右肩関節前部、外側部硬化。左後頚部硬化。                        

    8)経過と結果(治療頻度と回数、治療時間)

    20161118日 紹介で来院された。膝痛と五十肩の愁訴を強く訴えられたので重点的に治療した。(全身約60分間施術)

    2回目1122日膝痛は治療後3日目に軽くなり肩の愁訴も軽減した。

    3回目から「黄斑変性症」なので目の施術も開始。両眼1回約5分間施術した。

    その後34日おきに治療をした。若いころからテニス、ダンスをやってかなり無理をしていたのと、捻挫の後遺症が慢性化していて、1か所良くなると次の症状が現れた。

    114回、129回治療)

    201715日(15回目)大阪大学医学部付属病院眼科で検査を受け「黄斑変性症」が悪化しているので治療(手術)しなければいけない、と診断されたので食事療法を指導した。膝が悪いので運動はできなかった。

    同年1月13日の眼科の再検査で4月まで経過観察になった。

    18回、25回、37回、46回治療)

    同年419日同病院眼科検査で「黄斑変性症」は現状維持だった。

    5月に膝の痛みがほぼ消失した。

    53回、6月1回。7月1回、8月1回、102回、112回、12月1回治療)

    1222同病院の検査で「黄斑変性症が良くなっているので治療(手術)の必要なし」と診断された。視力は両眼とも1.0まで回復していた。(運転免許更新時の視力検査で眼鏡が必要でなくなった。)

    2018117日 膝の愁訴は日常生活では支障ないまで回復した。

    201812回、21回、32回、41回で良くなったので治療を終了した。

    考察Discussion

    健康と病気の概念

    健康とは、生体が複雑なメカニズムで外部環境の変動にうまく適応しながら動的平衡状態を保っている状態(恒常性維持機能=ホメオスタシス)である。病気は何らかの原因で動的平衡バランスが崩れ、元の平衡状態に戻れないでいる状態である。元の状態に戻すには総合的な治療も含めた療養を必要とする。動的平衡は液性調節と神経性調節によりコントロールされ、液性調節は血液等の体液を介して内分泌系が消化、生殖、免疫、浸透圧、ph(酸アルカリ)血糖などを調節し、神経性調節は交感神経・副交感神経の拮抗作用により心拍数、血圧、血流、呼吸、体温などを調節し、また内分泌系、免疫系、自律神経系も相互に影響しあい、これらは上位の精神(心)が大きく関与する。

    治癒のメカニズム

    細胞の再生

    治癒には損傷した細胞や組織の修復が必要で、それは細胞の生まれ変わり(リモルディング:細胞再生)による。細胞再生には代謝酵素が必要で、それには栄養バランス、特にビタミンとミネラルバランスが必要である。液性調節は血液循環により維持されているので患部と全身と重要器官の血液循環を良くすることが非常に重要である。血液は免疫細胞と栄養、老廃物の交換だけではなく、最も重要なのはガス交換である。赤血球の重要な役目は酸素の運搬でミトコンドリアに供給してエネルギーの元のATP(アデノシン三リン酸)の生成に関与している。酸素の供給を良くすることでエネルギーを効率的に産生することで治癒力を高めることになる。

    血液循環の促進

    筆者の手技療法では、患部をピンポイントで直接血液の循環が良くなる手技を施術する。今回のケースでは眼部を直接施術した。加齢黄斑変性の発生のメカ二ズムは、老化によって、黄斑部網膜の老廃物の処理する働きが衰え、黄斑部に老廃物などが沈着し、網膜の細胞や組織に異変をきたす。患部は結果的に循環障害が起きているので、患部の血液循環を良くし、代謝を促進することが治癒力を高めるうえで最も重要な因子である。治癒とは細胞の再生であり、損傷、壊死した細胞が再生し、組織が修復される。それには酸素、栄養(ビタミン・ミネラル・抗酸化物質)、代謝酵素、免疫細胞、免疫物質の供給と様々な毒素、免疫複合体、老廃物(代謝産物)などを排除し、更に全身的に血液循環を促進して内部環境のバランスを回復することが重要な因子である。

    結論Conclusion

    今回のケースの加齢黄斑変性が治癒した要因は、治療回数を多く継続したことと患者様が食事に関する知識があり比較的良く実行できたことであろう。

    老化に伴う生活習慣病を治癒させるには細胞再生の促進が重要で、それを促進するには代謝力のアップが必要で、代謝力はミネラル、ビタミンの栄養バランスと細胞のエネルギー産生に必要な酸素の供給量にかかっている。従って、治癒力を高めるには栄養バランスと血液循環促進がいかに重要かを示唆している。

     

    血度 問診票から自覚症状にチェックして血液循環の悪さを見る指標で点数が多いほど悪い。

     

    参考文献:

    HEALTH AND HEALING  Understanding Conventional & Alternative Medicine  By Andrew Weil,M.D.  「人はなぜ治るのか」現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム 訳者 上野圭一

 

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